21世紀の恐慌、サイレント・ディプレッション
20世紀の恐慌といえば1929年10月の暴落から始まった世界大恐慌が有名です。
米国株が34ヵ月間で89%の大暴落であり、レバレッジを掛けていた個人投資家は破産、金融機関も潰れ、多くの企業が倒産し、4人に1人が失業した暗黒の時代でした。
そんな時代とは違い、静かな恐慌(サイレント・ディプレッション)は今のところ、大暴落はありませんが単なる経済循環による不況ではないと思えるほど経済苦の人が増えている。
恐慌とは大雑把に言うと様々な要因で
・商品が売れなくなる(消費者の購買力が著しく低下)
・商業上の信用取引が出来なくなる
まだ株価の暴落や世界の主要都市の不動産が暴落したというわけではありませんが、消費者の購買力が相対的に低下する要因は増えていると思います。
そんな静かな恐慌について綴っていきたいと思います。
新たな時代に入りつつあると感じる
100年前と違って一般庶民の生活レベルは比較にならないほど向上していますし、そんなに悲観的に考える必要がないと考える人もいるかもしれませんが、恐慌といえるような状態になってきていると私も思います。
・長く続く実質賃金マイナス(日本では16ヵ月連続マイナス)
・積み上げられる国債(国の借金)
・稼げるホワイトカラーの減少傾向
・ギグワーカーや短期契約労働者の増加
・重くのしかかる住宅ローン(政策金利が上昇している国ほど負担が増している)
・多額の奨学金を抱えて社会に出る若年層が世界中で増加
どの国で統計を取っても1人当たりの購買力は下がっているのではないだろうか?
日本は比較的ウクライナ戦争の影響が少ないと言われているがそれでもほぼ全項目で物価が上がっています。
また将来的な展望が明るければ、今が厳しくても前向きになれますが
国の借金が増え続けるといずれは今の社会保障や福祉が失われていく事が分かっています。
安定して稼げる職も減っていくなら将来不安も大きいですから、大きなローンも組むことも慎重になります。
現在でも購買力は下がっていますが、将来的な展望の暗さが更に購買するという行動を抑制していると考えています。
実際に世の中の流れは先進国では中産階級といわれる中間所得層から低所得者層に転落していく人が増えていきます。
最終的には所得を階層別に分けるとピラミッドみたいな人口構造になっていくかもしれません。
今の若者は割り切った選択が必要かも
「親の世代のような世界では生きていけない。」
日本は戦後、ジェットコースターのような激動の時代を送ってきました。
焼け野原→朝鮮特需→高度経済成長期→バブル時代→バブル崩壊→停滞期→衰退期→???
経済状況も全く違いますし、技術の進歩も凄まじいから20歳以上年が離れていたら住んでいる世界が違うといっても過言ではないほど違います。
もう日本は衰退期に入っていると思いますが、今の若者は昔若かった人と同じようなレールを歩むと危ないのではないかなと考えています。
昔の時代みたいに終身雇用が当たり前ではない世界になると思うので、自分自身の資本の蓄積に関しては真剣に考えなければなりません。
資本とは人的資本(スキル)と金融資本(資産)であり、若年層は特に人的資本についてどうするか考える事は大切です。
就職と言えば有名な大企業が人気ですが、狭き門です。
そこに入れそうにないなら将来需要と供給のバランスが崩れて供給側が明らかに過剰に不足しそうな職に就いてスキルを獲得する事も長い人生でみれば安定した生活が得られる可能性が高くなります。
ブルーカラーは若年層に人気がないのは分かりますが、社会では必要とされているのに供給側の従業員が減り続ける職種を狙ってみるのも将来起業して高収入を得るチャンスがあったり、セミリタイアが容易に出来るようになる人的資本になるかもしれません。
また日本に最先端の工場が増える傾向にあるのでそこで働いた方が中産階級として生きられる事が出来るかもしれません。
稼げるホワイトカラーになるのは激戦区ですし、日本を始め先進国ではこれからその地位は減っていくと思いますので割り切った選択をした方が良い結果が出る可能性が高くなると思います。
おわりに
静かな恐慌といわれるサイレント・ディプレッション。
世界恐慌の時は金本位制度だったので株や不動産が大暴落しましたが、今は管理通貨制度なので株や不動産より通貨の価値が下がる現象が起こりえます。
静かな恐慌の時代は通貨の価値が下がり、物価がジリジリ上がっていく事になるだろう。
怖いのはそれがいつまで続くか分からない事です。