【2024年版】これからFIREを目指す方へ

経済的自立(FI)について

これからFIREを目指す方へ

FIREムーブメントは2020年頃から始まり、2021年をピークに様々なメディアに取り上げられました。

今では下火になりましたが、その時にFIREの概念を知った人たちはFIREを目指して自由な人生を歩んでみたいと考える人も少なくないでしょう。

「これからFIREを目指していきたい」という20~40代の方に参考になれば良いと思い、本記事を書きました。

これに投資すれば確実に資産は爆増するとか、楽して副業で月100万円稼ぐノウハウみたいな現実には存在しない話は書きませんが、FIREするならどのように努力していけばよいか分かるようにしています。

自分に合ったFIREを目指す

この記事を読もうとする人で「FIREって何?」と思う人は、ほとんどいないと思うので1から話す事はしませんが、一言でいうと説明すると自分が持っているスキル(人的資本)や資産(金融資本)などの資本によって組織に属せず自立して生活することを指します。


米国から来た元々のFIREは資産収入のみで働かなくても生活できる事でしたが、様々な派生が生まれたためにどのようなタイプのFIREでもFIREと名乗るようになっています。
元々のFIREはフルFIRE(もしくは完全FIRE)と分けて呼ぶようになっています。

まずはどのFIREのタイプが実現可能なのかを見極めて努力する必要があります。

記事を読む人は年齢、性別、性格、得意分野・不得意分野など全く分かりませんのでどのFIREを目標にするのかはご自身で判断してください。

目標とすべき3つのFIREタイプ

FIREは主に2つの資本(人的資本と金融資本)を使って自立していく事であり、6パターン存在します。

①フルFIRE(資産収入のみで平均的な支出が可能)
②ファットFIRE(資産収入のみで贅沢な生活が可能)
③リーンFIRE(倹約すれば資産収入のみで生活が可能)
④サイドFIRE(事業収入と資産収入の両輪で生活が可能)
⑤セミリタイア(労働収入と資産収入の両輪で生活が可能)
⑥収支均衡型セミリタイア(人的資本のみで生活費を稼ぎ、資産収入は老後資金)
※米国ではセミリタイアはバリスタFIRE、収支均衡型セミリタイアはコーストFIREと呼ばれていますが
 日本で認知度が高い名称を使っています。


①から③までは金融資本を主柱として自立するFIREです。
④から⑥までは人的資本と金融資本の2本柱で自立するFIREです。

まずファットFIREですが一般人にはほぼ不可能といえる保有資産額なので除外します。
事業家や投資家として成功した人、または超富裕層の親から莫大な遺産を受け継いだ人が検討すれば良いと思います。

また収支均衡型セミリタイアは最も金融資本が小さくて済みますが、人的資本の依存度がかなり高いFIREなので最初から検討しない方が無難だと思います。

私は最初はリーンFIRE、サイドFIRE、そしてセミリタイア(バリスタFIRE)のどれかで検討した方が達成しやすく、また安定したFIRE後の生活が出来ると考えています。

フルFIREに関しては上記3つのFIREと繋がっていて、現在6合目でFIRE出来る状態だけど、9合目のフルFIREまで頑張るかどうかという感じです。
なので最初からフルFIREを目標にしなくて良いと思います。

これからFIREを目指す人が目標として検討した方が良い3つのFIRE
それぞれ特徴があるので1つずつ綴っていきます。


総合的にバランスが良いサイドFIRE

実現すれば人生が充実しやすいFIRE後の生活になるのはサイドFIREだと考えています。
それは人生において幸福を感じる3つの資本(人的資本、金融資本、社会的資本)をバランスよく持ちやすくなるからです。

また必要な金融資本が働く事を前提としないFIREより少なくて済むので若さを残してFIREが達成しやすいのも大きなメリットです。

ロールモデルとしては事業収入(50%)と資産収入(50%)の両輪で生活をしていく生き方となります。
サイドFIREを達成するためには人的資本を育てて事業収入を得られるようにしなければなりません。

事業収入とする方法は主に2つ。
①本業をハーフ労働で稼ぐフリーランスになれるようにする。
②副業を育ててスモールビジネス(収益化)を持つ。

①を目指すなら小資本でも出来る技術系の職に就く必要があります。副業として試しに受注してどれぐらい働けばどれぐらい稼げるか把握しておいてください。(分からないとFIRE後の生活が大変になるかも)
②を目指すなら大変ですが本業をしつつスモールビジネスを創り出す努力が必要です。

事業収入+資産収入>生活費になればFIRE達成です。
ただし事業収入の割合が高すぎる場合は両輪になるように資産収入が増えるまでしばらく資産形成を頑張りましょう。
資産収入で基礎生活費をカバーできるレベル(リーンFIRE可能な資産)が理想です。

最後に労働で稼ぐより事業で稼ぐ方が難易度が高いので努力してみて事業収入を持つ事が難しいと判断すれば他のFIREタイプを選択しましょう。


短時間労働を受け入れるセミリタイア

セミリタイア(バリスタFIRE)は労働収入と資産収入の両輪で生活していきます。
労働収入の良いところは時間単位で単価が決まっているので安定した収入が期待できるところです。

短時間労働を軸に稼ぐ人はセミリタイアが向いているでしょう。
週単位の労働時間を短くするか、繁忙期に数ヵ月から半年間ぐらい働くなど短期間労働にするかはライフスタイルによって決めればよいと思います。

最も注意しなければならないのはセミリタイア後にちゃんと労働するかどうかの確認です。
セミリタイアといって働かない人は多いので、労働収入を生活費に充てる計画ならきちんと実行できるかどうか自分自身に確認しておいた方が良いです。

労働収入+資産収入>生活費になればセミリタイア達成です。

労働収入の割合が高くならないように資産収入である程度の基礎生活費を賄えるまで資産形成しておいた方がセミリタイア後の生活は楽になります。

倹約生活が得意な人はリーンFIRE

「私はお金の掛からない生活をしているのでバイトでもかせげる程度の収入があれば生きていけます。」と倹約生活をしても大きな不満を持たない人ならフルFIREのような金融資本は必要ありません。

リタイア後の生活で基本的には働かない生活を考えていて、倹約生活が出来る場合がリーンFIREが最も適合していると思います。

お金が掛かる趣味をしなければ月15万円の生活でも家賃5万円以下、家賃以外の生活費が10万円以下でそれほど不満なく暮らすことは可能なのでリーンFIREをベースに早期リタイアを考えている人は少なくないと思います。

リタイア後は絶対に働きたくないという人でなければ、非課税世帯に該当する上限の年収程度まで働いて基礎生活費は資産収入で賄い、娯楽費は年100万円未満の労働(または事業)収入というバランスにすると、娯楽の選択肢がある自由な暮らしも出来るのでリーンFIREしても年収100万円を目指す事をお勧めします。


フルFIREまで金融資本を太くするかどうか

セミリタイアであってもサイドFIREであってもリーンFIREであっても、そこから金融資本を太くしていくとフルFIREにモデルチェンジする事が出来ます。

私はリタイアしたら生活費を稼ぐために働かない生活を目指していたので途中経過はリーンFIREになると思いますが、リーンFIRE達成時が6合目だとするとフルFIREは9合目までさらに登るような感じです。

ただ資産形成するライフスタイルが確立している状態になっているのでそのままフルタイム労働と積立投資を継続していれば良いだけです。

資産形成すればお金は徐々に増えていきますが、人生の残り時間は減っていきます。
給料の価値は年齢と資産額が増えるほど確実に下がりますから、その給料の価値がある水準以下になれば金銭面では会社を辞める事に抵抗感はなくなります。

フルFIREだから4%ルールなのでいくら必要というより、上記のような感覚になったらリタイアのタイミングで良いかなと私は考えています。

年齢にもよりますが、個人的にはリタイア後も稼ぐことが前提のセミリタイアとサイドFIREの人はFIRE達成したらフルタイム労働を継続してまでフルFIREに拘らなくても良いかなと考えています。

さっさとゆるく働いて自由な時間を増やしましょう。
若さは非売品なので何年も追加してフルタイム労働で消耗する必要はないでしょう。


資産形成中に必要な資産額が分かってくる

FIREを目指す人はFIREのタイプを決めた後に目標資産額を設定すると思います。

想定する年間生活費が計算できている人はとりあえず4%ルール適用で良いと思います。
年間240万円を生活費として考えているなら4%ルール適用で240万円×25なので6000万円。
サイドFIREやセミリタイアなら人的資本で稼ぐ生活費分は減らして考えましょう。


確定できない人は目安の数字をとりあえず目標値にしましょう。
サイドFIRE・セミリタイアなら3000万円。
リーンFIREなら5000万円。
フルFIREなら1億円。

資産形成中に支出の最適化も模索して、継続可能な最適な生活費が分かってくると思います。
FIRE後に移住を考えているなら移住先の家賃設定もしておけばFIRE後の年間生活費が出てくるでしょう。

サイドFIREやセミリタイアを目指している人なら人的資本でこれぐらいなら稼げそうだなという事も掴んでおいてください。

基本的な計算として、資産収入は4%ルール適用+人的資本(労働・事業収入)で生活費を上回ればFIRE達成となります。

あとは安全率をどれぐらい見るかによります。
資産収入を4%ルールではなく、より保守的に考えて3%ルールにしようとか。
4%ルールの適用だけど、余力としてさらに300万円増やそうかなど。

これはFIREを目指す資産形成の終盤にそれぞれ真剣に考えて調整すると思います。
それが終わればFIRE後の生活が待っています。


達成するための倹約、本業、副業、投資

資産形成に必要なスキルは継続可能な支出を減らすスキル(倹約)、稼ぐスキル(本業・副業)、運用して増やすスキル(投資)です

優先すべき順位は倹約>本業>副業>投資になります。

①倹約
倹約は支出を減らすスキルであり、誰でも身に付くので最初に考えるべき事です。
働いて1万円多く稼ぐのも支出を1万円減らすのも残るのは1万円と同価値です。

また収入と比例して支出も増えたら、資産形成が順調にいかなくなるのでFIRE達成するためには倹約スキルは必須となります。
資産形成を本格的にするならまずは支出を最適化させ、継続可能な倹約生活をしましょう。


②本業
次にお金を稼ぐ源泉となる本業ですが、可能な限り本業で稼げるように努力していきましょう。
若年層であれば人的資本は伸びやすく稼げるようになる可能性は高いです。

給料は会社の規模と業界でほとんど決まるので、稼げる仕事を意識して就職や転職しましょう。
またスキルが得られると個人でも仕事を請けられる職種で頑張るとサイドFIREやフリーランスという選択を持つ事が出来ます。


③副業
本業では頑張っても収入が伸びにくいとか個人で請けられるような職種ではないが本業は辞めたくないと考えている人は副業を検討してみましょう。

本業+副業という生活は相当負荷が掛かりますがFIRE後に人的資本を使って収入で得たいと考えているなら頑張るしかありません。
副業でも自分でスモールビジネスを持つ方法と短期労働する方法がありますが、FIRE準備中にいろいろ試してみて相性が良い収入源を見つけましょう。


④投資
最後に投資です。低収入や低資産の状態だと投資のリターンに過度に期待しがちですが止めましょう。

投資は無難な資産運用に設定しておいてどうやって稼ぐかは人的資本を使って考えるようにしましょう。投機は成功した人はネット上で目立ちますが、その陰では資産を失った数多くの人たちが存在します。

最初は無理のない積立額でオルカン(全世界株式)のように無難なインデックス投資から始めていきましょう。

40代から定年前リタイアを目指すのもあり

FIREというと若年層が資産形成を本気で始めて30~40代でフルタイム労働を卒業するというイメージが強いと思いますが、私は40歳過ぎてから本格的に資産形成して定年前に辞めるというリタイア計画も良いと考えています。

メリットは主に3つです。
①若い時に節約による機会損失が少ない。
②40歳の時点で先の人生が大体決まっている。
④給料面や環境面で中年の方が資産形成しやすい。

こういうと中年は悲しい気分になるかもしれませんが、人生の80%ぐらいは40歳までに決まっているのでそれから経済的に自立して定年前にリタイアする人生を目指すかどうか決めても良いと思っています。

これからの時代、平均的な資産形成しかしなかった場合は早くて65歳、遅ければ肉体の限界に近い75歳前後まで働く事になると思うので50代後半でリタイアでも充分早期リタイアの部類に入ると考えています。

40歳過ぎたら友人として付き合いがある同世代も落ち着いているからそんなに遊ぶことはないですし、年収もポジションや年功給に応じて上がっていますし、浪費となる趣味さえ持たなければ資産形成は継続しやすいと思います。

資産形成シミュレーションは机上の空論

資産形成シミュレーションについても綴っておきます。

資産形成するならエクセルなりスプレッドシートなり使ってシミュレーションをすると思います。

毎月積立投資なら入金をいくらにして投資利回りを5%に設定すると綺麗な右上がりのグラフが出てくるでしょう。

「今からこのペースで入金し続けると49歳でFIRE達成か・・・」
※私のセミリタイア計画、実際にはもっと若い年齢で予定した資産額より多くなった状態でFIREしました。


当初の予定通り入金を計画通りすればシミュレーション通りの結果になるかというと99.9999%ならないでしょう。
それは投資の結果が固定金利のような複利計算結果にはならないからです。

利用しているネット証券のツールで資産運用シミュレーションが出来ると思いますが、リターン予測50%の範囲内であっても楽観的な結果と悲観的な結果では資産額にかなり差が出てきますから。

資産形成シミュレーションは机上の空論だと思いますが、人間目安は欲しいと思うのでとりあえず作成して毎年修正する事は良いと思います。

運用時期が良ければFIRE達成までの時間が相当短縮されると思いますよ。
これだけは運としか言いようがないですね・・・。


再現性の高いFIREと再現性の低いFIRE

FIREなど何かを達成するためのノウハウとして再現性が高いか、もしくは再現性が低いかで議論が起きる事はあります。

再現性が高い方法とは多くの人がノウハウとして活用できる優良な方法である。
逆に再現性が低いとは秀でた能力が必要だったり、強運が必要だったり一般的には再現するのが難しい方法です。

私が考える再現性の高いFIREは
①種銭は働いて築く(入金だけで1500~2000万円程度)
②積み上げるために最低でも平均以上の収入を得る
③労働や資産により総合的な収入が上がっても生活費を上げない

資産形成でアッパーマス層までたどり着いたら年齢、基礎生活費、FIRE後にやりたい事、人的資本、金融資本を考慮してフルタイム労働を卒業する条件や時期を本格的に検討すれば良いと考えています。
種銭すら出来てない状態なのにフルタイム労働を辞めたいと考えてもどうにもならないのでFIREを本気で目指すなら腹をくくって頑張っていきましょう。


私が考える再現性の低いFIREは
・始めの種銭から投資で稼ごうとする

最初から投資でお金を稼ごうとする人は最後まで投資で何とかしようと考えるはずです。
種銭もなく投資で稼ごうとする人は利回りが年率10%でも低すぎると投機に走りがちです。
再現性が低いだけで元手が数百万円から株や仮想通貨で億まで達した個人投資家は存在しますが、多くはうまくいかないと考えています。

娯楽としてのギャンブルなら良いですが、人生を掛けたギャンブルには手を出さない方が良いと思います。


資産形成中に人生観が変わった場合

FIREをしようと決意して資産形成を始める人は多く存在すると思いますが、道のりがあまりにも長いため、FIRE達成する人はごく少数です。
その理由はFIREを目指さない人生の方が良いと多くの人が考えたからだと思います。

1つの出来事で価値観が変わったりしますし、公私ともに1つの出会いで人生が変わったりします。

20代の頃に女子からチヤホヤされる有名企業に所属して仕事するのが好きだったA君が30代半ばで退職した後、司法書士になっていて小さな事務所を運営していた。
「子供に興味ないし、結婚なんて何のメリットもない」と散々公言していたB君が30代後半になって子育ても仕事も頑張る良いパパになっていた。
定年まで勤める予定だったC君は所属していた会社が解散する事に決まって、どこに転職しようかと悩んでいたら1人の優良顧客から「お前が独立するなら仕事出すよ」と言われて背水の陣で起業したら成功した。

若い頃に考えていた人生とは違う人生を歩むなんて良くあることです。
(3人とも実在します。)

FIRE目指していたけど、自分の人生でFIREに拘る必要が無くなったら他の道を歩いていけばよいと思います。


おわりに

FIREを目指す人が少しでも参考になればと思い書きましたが、そんな私でも他人に30~40代でFIREする事を勧めたことはありません。

主体的に考えながら行動する人がFIREを目指すなら素晴らしいライフステージが待っているかもしれませんが、そうではないなら仮にFIREしても全然面白くない生活が待っているからだと考えているからです。

FIRE後の生活に合うか合わないかはFIRE系のブロガーやユーチューバーのライフスタイルを参考にしつつ、良く自分自身に向き合いながら考えてFIREを目指すかどうか決めればよいと思います。

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