世の中の進歩とともにFIREの概念も変わっていく
米国では大量離職時代、中国では寝そべり族の大量発生、欧州では若年層中心に非常に高い失業率(定職に就いて働かなくても生きていけるという意味です)、日本でも20~30代で会社を辞めて自立して生きようとする人が増えてきています。
世界的な傾向として、フルタイム労働を老人になるまでずっと続けることに疑問を感じる人が増えてきたと考えています。
日本ではFIREという言葉より早期リタイア、セミリタイアという言葉の方が長く使われてきました。
フルタイム労働からリタイアして生きるという世界も10年も経たずにずいぶん変わったなと感じています。
そんなFIREの概念の進化について綴っていきます。
FIRE1.0 お金持ちによる自由な生活
インターネット経由で投資が出来る前の時代。
そのような時代にもFIRE民は存在しました。
それはお金持ちによる自由な生活です。
金持ち父さん貧乏父さんの金持ち父さんが良い例です。
ビジネスオーナーで自分が常時働かなくても裕福な生活が出来るイメージです。
金持ち父さん貧乏父さんを読んだ人はこう感じませんでしたか?
お金を生む資産の大切さは分かったが、資産所得を得るための種銭がつくれない!
金持ち父さんになるためには資産家の一族として生まれたか、ビジネスで高収入を稼いで種銭をつくれるようになるか、2択しかありませんでした。
FIRE1.0というのはビジネスオーナーか不動産を複数所有している大家さんしか実現できないスタイルなので一般的な社会人が実現するのは難しいタイプです。
FIRE2.0 お金持ちではない経済的自立
インターネットで低い手数料で投資が出来るようになり、またグローバル経済により安価で食料品や家具家電、衣服などが手に入るようになりました。
そのような社会の進歩により、富裕層ではなくても経済的自立な可能ではないか?
独身が東南アジアや田舎にいけば、低支出で生活が出来るためアッパーマス層程度の資産でもセミリタイアが出来る目途が立った時代です。
2010年代はいくつか下落局面があっても、長期投資で考えれば順調に上昇し続けたので多くの資産形成者が順調に資産を増やせたと考えられます。
2015~2020年には多くのセミリタイアブロガーがセミリタイア達成しました。
一部セミリタイア生活に合わない人は会社員に戻りましたが、多くの人はセミリタイア生活を持続しています。
低支出でもそれなりの生活が出来る時代であり、子供がいないので資産計画が容易だったこともあり多くのセミリタイア民は独身、もしくは子供がいない夫婦がほとんどだと思われます。
セミリタイア民は働かない事を前提にしているFIRE寄りの人もいれば、バイトや派遣などで稼ぐことを前提にしている人もいます。
今のFIRE民はこのFIRE2.0タイプが最も多いと考えています。
低支出生活であっても、金融資本の比重が高いのでFIREに必要な資産形成を達成するためにはかなり時間が掛かりますが、達成後は気楽に生きることが出来ます。
FIRE3.0 選択肢が多いサイドFIREで自立
FIREしたいけど、子供は欲しい。
子供には必要な教育はしたいし、標準的な消費する力は欲しい。
FIRE2.0では最終的に決断できた理由は独身だったり、子供がいないという事がかなり大きな要因だと思いますが、FIRE3.0になるとFIREのためだけに子供諦める事はありません。
なのでFIRE3.0になると資産所得だけで標準家庭並みの所得を得られるようになるまで資産形成するのはかなり難易度が高いので、人的資本をつくりサイドFIREで稼ぐことを目指すようになります。
少しずつ増えているのはユーチューブの収入源の柱としたサイドFIRE。
会社員並、もしくはそれ以上稼いでいるFIRE民は少なくありません。
これだけユーチューブのチャンネルが増えていくとそれに付帯したビジネスでも充分稼げる土台は出来ているように思います。
激戦区のチャンネル運営からの収益を期待するよりも手堅く稼げます。
稼げるようになれば会社員や会社役員と同じように子育ても出来ますし、仕事の調整もしやすければ休暇の自由度も高いです。
資産所得(不動産所得含む)+事業所得でバランス良いので稼げれば資産形成にお金を回せますし、想定より稼げなくても資産所得があるため、一般的な起業よりプレッシャーなく生活が出来ます。
それがサイドFIREの強みであると思います。
そんな自由と家庭を両立したいFIRE3.0は最近増えているなと感じています。
FIRE4.0 ストック型収入を持つ事業主
もともとは富裕層しかできなかったFIREですがノマドワークでも充分稼ぐことが出来る社会になり、概念が進歩することによりフルタイムしなくても生活できる事業主(1人社長)が今よりも多くなっていくのではないかと考えています。
サイドFIREとは違いは
資産所得+事業所得ではなく、ストック型収入になる事です。
資産所得の場合、所得を増やすためにはお金が必要です。
仮に税引き後に4%のリターンが得られる金融資産だとしても年間40万円の資産所得を得るためには1000万円の資産が必要となります。
年間300万円となれば、必要な資産は7500万円も必要となります。
FIRE4.0になると経済的自立をするためにブログやユーチューブ、ウェブサービス、アプリなど稼げるツールになるまで育てて、自分にそれほど手がそれほど掛からないようなシステムに出来ればストック型収入になります。
仮に年間300万円を稼げるツールに育てれば、資産7500万円の運用益と同等の収入源を得ることになります。
不労所得ではありませんが、ストック型事業として成り立てば少ない労力で手に入れられる収入源です。
FIRE3.0との違いは進化するとプレイヤーとして全て自分でやるのではなく、マネージャー(管理者)として大半の業務を委託する人が増えてくる事です。
同じ1人社長でもFIRE4.0はビジネスモデルを形成する一般的な経営者と同じような考え方になっていくと考えられます。
多くをアウトソーシングが可能なので1人社長のままでも事業が成り立つことが出来るのがIT・情報ビジネス関連の最大の強みかなと考えています。
FIREが進歩するほど金融資本より人的資本が重要視されていくため、能力があればFIRE達成までに掛かる年数は少なくなっていくと考えられます。
収入源さえ創り上げればサイドFIRE民と同じようなライフスタイルは可能です。
若年層でFIREを目指すなら自由と経済力のバランスが良いFIRE4.0タイプのサイドFIRE民がベストだと思います。
おわりに
70歳定年時代といっても、20代で入社した会社が70歳になるまで働ける確率はかなり低いと思います。
大企業に入社すれば安泰な時代ではありませんし、中小企業ならむしろ定年迎える前に会社自体が無くなっている可能性の方が非常に高い時代に入っていくと考えています。
FIREを望む望まない関係なく、FIRE達成が可能な状態にもっていくほうが良いと思っています。
リタイア者寄りのFIRE1.0、FIRE2.0、バランス型のFIRE3.0、起業家寄りのFIRE4.0まで達成するための必要条件が異なりますが、会社に依存することなく、生きていけるという最終目的は変わりありません。
そんなにお金を使わない独身者ならFIRE2.0、家庭持ちの人や自分のビジネスを持って稼ぎたい人ならFIRE3.0か4.0が合うと思いますが、どのタイプが良いかは資産形成中に自分自身で検討してみるのが良いでしょう。