FIRE希望者が増えると労働者不足になるのか
単身世帯化やFIRE希望者が増えることにより、労働者不足がより深刻な事態を招くという記事がありました。
単身世帯の割合が増えると確かに少子化を招きます。
これには同意ですが、果たして単身世帯化とFIRE希望者の増加で労働者が本当に不足するのか
今回はFIRE希望者と労働者不足の関連性について私の考えを綴っていきます。
FIRE民はごく少数なので影響はないと思う
はっきり言ってFIRE希望者が増えたところで労働者が減るとは考えていません。
それは日本でFIRE達成した人なんてごく少数だからです。
願望として持っていても本気でFIREを目指す人も少ないですし、達成できるまで長期間資産形成した人なんてほとんどいないと考えています。
それに働かないことが前提のFIREをするためにはそれなりに稼げる仕事に就く必要があります。
それは単身者が平均年収でFIRE達成するのは非常に難しいからです。
そういう仕事には就職希望者が多く、40~50代がFIREしても仕事を引き継ぐ人は多く存在します。
大人数がFIREすれば混乱すると思いますが、FIREを実行するのはごく少数なので組織がしっかり出来ている会社であれば問題が起きないわけです。
よってFIRE希望者が増えようが労働市場において影響はないと考えています。
そもそも労働者不足の原因はその業種の待遇が悪すぎるからです。
不衛生な環境で嫌な思いをずっとさせられる
危険な環境で1つのミスで事故を引き起こす
屋外で働く心身ともに過酷な肉体労働
フルタイムで働いても給料が安すぎる
過労死ラインで働かされる長時間労働
こういうほとんどの人が働きたくない労働環境だから労働者不足になるのです。
先進国や資源国では外国人労働者にこういう仕事をさせることで対応していますが、それはそれでまた別の問題を引き起こしたりするので良い解決策だとは考えていません。
AIや機械化によって労働の過酷さを軽減させたり、必要な労働者数を減らして1人当たりの報酬を上げるようにするしかありません。
労働環境が良くなり、高報酬になれば従事する人が増えてくると思います。
はっきり言って改善しない限り、日本人が増えたとしてもほとんどの人が働きたくないと思っている職種に従事する人は増えないだろう。
社会の制度設計を変えると生きやすくなる
「従来、日本のシミュレーションではほとんど夫・妻・子どもという“標準的なモデル”で考えて制度設計しているが、様々な生き方・モデルについても想定する必要がある。加えて、 FIREした人、もしくは親の介護などなんらかの事情で一度労働市場から抜けた人でも戻れる制度設計にしていくことも重要だ」
ABEMAヒルズ
20世紀までは夫・妻・子供が標準的なモデルだったと思いますが、これからの時代は夫・妻の2馬力で生計を立てる世帯と単身世帯も標準的モデルとして入っていると考えています。
つまり性別関係なく生計を立てるために働くのが一般的になっている時代なのに社会の制度設計はあまり進歩がありません。
私も労働市場に入ったり、抜けたりすることが比較的容易になれば生きやすくなると考えています。
ただこれは同一労働同一賃金、解雇規制緩和など会社員から反発が大きい制度改革も必要となるので実現するのはかなり難しいなと考えています。
おわりに
あまりFIREと労働者不足の関連性がないのに何でFIREを全面に出してくるのかと考えた時に恐らくFIREというキーワードはまだ影響力が強いのだと感じました。
FIREという概念がどんなに社会に浸透しても少数派であることは今後も変わらないと思いますので労働環境を改善する以外、労働者を確保する道はないと思います。