FIRE民がマイクロ法人を持つメリットとデメリット
法人を持った方が良いかどうかという判断は一般的な事業主とFIRE民ではズレがあると考えています。
通常法人を持つかどうか決めるのは、金銭的なメリット・デメリット以前の問題で事業をするために法人ではないと利害関係者との受発注の取引や様々な契約が難しいと考えるからだと思います。
最近では従業員は雇用しないけど、アウトソースを利用してまるで組織的な会社のように運営している若い起業家もいるようですが、FIRE民は自分自身がフルタイム労働してまで事業する人は少ないと思います。
そんなFIRE民にとってマイクロ法人を持つ事のメリット・デメリットを綴っていきます。
マイクロ法人を持つメリット3選
私が考えるFIRE民がマイクロ法人を持つメリットは下記の通りです。
①稼ぐ力別に節税対策が出来る。
稼ぐ力が小さいなら社会保険料や厚生年金を低い金額に抑えたまま加入する事が出来ます。
稼ぐ力が大きいなら個人と法人に振り分けて所得税を下げる事も出来ます。
それ以外に個人事業より経費が認められる範囲が広かったり、欠損金を10年繰り越せるなど所得を下げて税金を抑える事も出来ます。
また法人を保有すると資産を個人で所有だけではなく、法人で所有という選択肢が生まれます。
支出に関しても個人で支払う、法人で支払うという選択が出来るため、個人と法人の2つの人格を持つという金銭感覚を持つようになります。
②社会的信用が得られる。
病院の問診票だったり、車を買い替える時だったり、クレジットカードの申込時など個人情報が必要な事があると職業欄の記入を求められる事があります。
中年無職男性に冷たい扱いをする日本社会で職業欄に会社役員(代表取締役)と書くことが出来ます。
また人付き合いが少ない人でも親兄弟親戚、友人知人、ご近所の人、昔の仕事関係者など何かしら繋がりはあると思いますし、コミュニティに参加するなど新しい繋がりが出来る場合もあります。
認知度が高い肩書があればめんどくさい詮索されたり、無駄に嫌な思いをしなくて済みます。
③厚生年金保険に加入できる。
今の時代、年金制度に相当な不信感があるため加入したくない人は多いと思いますが、長生きした場合の保険を掛けるという事で私は厚生年金保険にはある程度掛けておきたいと考えています。
私の場合、早期リタイアしたため厚生年金保険の加入年数が短いので少なくても55歳ぐらいまで厚生年金保険料を払い続けられればと考えています。
日本は少しずつ衰退していくと思っていますがそれでも公的年金は自分が長生きした時のリスクヘッジになると考えています。
マイクロ法人を持つデメリット3選
私が考えるFIRE民がマイクロ法人を持つデメリットは下記の通りです。
①開業までのコストが掛かる。
法人を設立するためにやらなければならない事は多いです。
法人用の印鑑(実印、銀行印、角印)の製作、定款の作成と認証、登記に必要な書類の作成と申請、法人の銀行口座の開設、法人のクレジットカードの申請、税務署や社会保険関係各所に必要な書類の提出。
全て完了するまでかなり時間が掛かりますし、設立するまでに費用も掛かります。
個人事業なら簡単に開業できますし登記費用も掛からないですが法人は金銭的にも労力的にもコストが掛かります
②申告する書類が多くなり、内容も煩雑になる。
個人事業主なら確定申告だけですが、法人になると決算申告が必要になります。
決算申告は決算日後2ヵ月以内に貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書などの決算報告書に勘定科目内訳明細書や法人事業概況説明書などの添付書類の提出と法人税・法人住民税等の納税が求められます。
法人の決算申告は個人の確定申告より難易度が高いですが法人を持てば避けて通れません。
ちなみに会計ソフトをfreee会計に選択すると「この会計処理はどうするか」ではなく「freee会計ではこの会計処理をどのようにすればよいのか?」と調べるのに手間が掛かる事があるのでちょっとめんどくさいです。
(※freee会計は一般的な仕訳処理ではないため)
またマイクロ法人なら全然煩雑にはなりませんが決算申告以外に算定基礎届、年末調整、法定調書合計表など申告しないといけない事は複数あります。
また当たり前の事ですが上記の書類には提出期限があり、それによってスケジュールが少し縛られることになります。
決算申告は決算日後から2ヵ月以内に提出。
算定基礎届は7月1日から10日までに提出。
年末調整は源泉所得税は翌年1月10日まで、書類は1月31日までに提出。
法定調書合計表は翌年1月31日までに提出。
それに加えて私は確定申告する必要もあります。
お金を払って税理士や社会保険労務士にお任せする事も出来ますが、1人で対応しようとすると当然申告する書類に縛られることになります。
書類作成がめんどくさいというだけではなく、1人で全て対応する場合は申告期間に長期旅行が難しくなります。
③赤字決算でも法人住民税を納めなければならない
赤字決算の場合、損失を出した状態で決算日を迎えたわけですがそれでもこの国は税金を払えと言ってきます。
資本金と従業員数によりますが法人住民税は決算日後に必ず納税しなければなりません。
マイクロ法人なら納税額はミニマムになりますが、それでも7万円の納税が求められます。
個人なら所得が著しく低い(もしくはない)場合は非課税で逃げられますが、法人はそうではありません。
おわりに
こうやってメリット・デメリットを冷静に考えるとFIRE民にとってはマイナス面の方が大きいと感じるかもしれません。
ただ私はスモールビジネスを持ちたいと考えていた事、人生で一度ぐらい代表取締役社長になってみるのも良いかなと思った事、そして厚生年金保険の加入年数が短いなと思っていたので法人を持つ事にしました。
一般的な起業と違って、資金がショートする前に事業を軌道に乗せなければならないというプレッシャーはないのでのんびりとしていますが、そういうところがFIRE民らしい気楽さだなと感じています。