2020年代後半から大廃業時代となる理由
2020年代後半以降、日本社会にとって激動の時代になると思うことがあります。
年々じりじりと上がっていく税金、ほとんどの労働者に社会保険の義務化と負担増による手取り減少、少子高齢化による市場の収縮、そして社長の高齢化による多くの会社が消滅する時代に入っていくからです。
帝国データバンクによると2021年12月の時点でオーナー社長の年齢層は60代が26.9%、70代以降が24.9%となっております。
つまり現在のオーナー社長は2020年代末までに半分ぐらいは70歳以上となるからです。
また2025年になると70歳以上の企業が約245万社になり、そのうち約127万社が後継者不在だという事で倒産まで追い込まれなくても近い将来、廃業かM&Aの2択になると思います。
M&Aが成立するのは少数だと思うのでほとんどが廃業か休業(清算したら赤字になるため廃業せず休業としている)になると考えています。
日本にとっては少子高齢化と同レベルで社会に影響を与える問題にも関わらず、ほとんど報道されることはありません。
そんな日本の大廃業時代について綴っていきます。
日本から100万社以上が消滅する時代
実感がない社会人の方が多いと思いますが、後継者不在の状態でオーナー社長が引退(もしくは他界)したらその会社自体が終わる場合が多いと考えています。
中小零細企業の場合、オーナー社長の金銭的信用により成り立っているからです。
これは単に社長が仕事が出来る出来ないの問題ではありません。
オーナー不在になれば会社の資金提供者や保証人がいなくなるため黒字企業であろうが存続できません。
消滅会社のほとんどは個人事業か小規模事業者であると思います。
大きくても社長がいて事務パートが数名いて事業に必要な従業員たちがいるような形態です。
それでも100万社以上が消滅するとなると日本社会に与える影響は大きいと思います。
買収する資産価値のある企業ならM&Aが決まりますが、そうではないなら廃業の時期を決めて従業員たちは他社へ転職活動(または独立支援)することになると思います。
廃業かM&Aの2択に迫られる高齢社長
事業を存続させたいと願う高齢社長は多く、いろいろ模索すると思いますが従業員に引き継がせると事業資金をどうするかという問題になります。
引退する年齢なのに他者が経営する事業資金の借入金の保証人にまではなれないため、従業員が自己資金で事業可能な場合を除いて、引き継がせることは困難だと分かります。
そうなると社長側からみて廃業かM&Aの選択になりますが、M&Aに関しては正当な金額で売却するだけの価値がある企業は少ないため、清算額より大幅に減らしてでも譲渡するか、廃業の道を選ぶかになると思われます。
私が知る限り、多くの高齢社長は決断が遅いです。
どちらも選べずだらだら継続するという道に進む場合が多い。
悩んでいるだけで具体的に対策を取っていないのが現状だと考えています。
私がフルタイム労働していれば、いずれは結末を知る事が出来ましたが恐らく大半は廃業を選択するのかなと考えています。
雇用が流動化するきっかけになるかもしれない
静かに消滅する企業もあれば、社内で従業員と揉めに揉めて消滅する企業もあると思います。
従業員側からみて基本的には他社へ転職となりますが、小規模事業者なら小資本でスタートできる形態の事業が少なくないため、独立という道も実はあると思います。
もしあなたがオーナー社長が70歳過ぎで後継者となる子供も存在しないという企業で働いているなら、さっさと転職するか、自己資金で出来る範囲で顧客の仕事を引き継いで独立の準備をするか2択になると思います。
独立を考えているなら何年も掛けて対社長、対顧客の信頼関係と事業資金作りは意識しておいた方が良いです。
信頼関係があって自己資金で事業してくれるなら、スムーズに顧客を引き継ぐことが出来ると思います。
高齢社長も悩んでいると思いますが、従業員も高齢社長が引退する前に本気で次の準備しないといけないと認識した方が良いと考えています。
この激動の時代をきっかけに日本の雇用は流動化に向かうかもしれません。
大廃業時代後の社会はどうなっているか?
2030年以降の日本社会に必要とされる事業は残り、需要が弱く採算が取れない事業は消えていくのではないかと考えています。
良く言えばスリム化され、必要な事業は次世代の事業家が引き継ぐことになり、必要とされる仕事をしていた従業員は企業は変わっても同じ仕事をするのだろうと考えています。
高度経済成長期からバブル期、停滞期、そして大廃業期を終えて適正な企業数になっていくのではないかと思います。
従業員が転職先として集まる企業は人材が豊富になり、小規模事業者から組織がしっかりとした企業に成長するかもしれません。
私は多くの混乱が引き起こると思いますが、最終的には良い形で落ち着いてくると考えています。
だから働く側も自分の仕事が社会が必要としているかどうか見極めなければなりません。
定年まで終身雇用など維持できる会社はほとんどないのだから。
おわりに
大廃業時代によって社会は大きく変わっていくだろう。
しかしそういう時代の方が独立しやすかったり、転職しやすかったりするので若年層だけではなく、中年も現状より良い環境で働く事が出来るかもしれません。
75歳になっても元気でボケてもないと認識している社長も少なくなく、大廃業時代は予想より間延びする可能性もあります。
ただどんなに間延びしたとしても2030年半ばぐらいまでだと思います。
大廃業時代が終わると良くも悪くも昭和の経営観や労働観も終焉を迎えると考えています。
それは昭和時代の思考を持つ社長や幹部社員が完全に引退するからです。