SNSにFat FIRE民が存在しない理由

SNSにFat FIRE民が存在しない理由

FIREというライフスタイルが一般化しつつある中で、特に注目されているのは「少ない支出で自由を得る」スタイルです。

しかし、Fat FIRE層の姿は、SNS上ではほとんど見かけません。
Fat FIREの定義は人それぞれ違うと思いますが、私は独身であれば3億円以上、子持ちの既婚者であれば5億円以上が妥当なラインだと考えています。

ではなぜ、彼らは表に出てこないのか。
その不在には、いくつかの明確な理由があると感じています。

今回は、SNSにFat FIRE民が存在しない理由について綴っていきたいと思います。

現状のFIRE界隈とは合わない

Fat FIRE民は、生活水準や価値観が現在のFIRE界隈と大きく異なります。

現在SNS上で目立つFIRE層は、節約志向やミニマリズムをベースに、副業で少し稼げれば十分というスタイルで、月20万円前後の生活費で自由を追求する「Lean FIRE」や「サイドFIRE」層が中心です。

一方で、Fat FIRE層はまったく異なるライフスタイルを送っています。
広い一軒家や分譲マンションに住み、外食も旅行も自由に楽しみ、支出に縛られない暮らしがベースとなっています。
同じFIREでも自由の質がまるで違うため、価値観を共有するのが難しく会話がかみ合わないのも当然と言えるでしょう。

さらに、Fat FIRE民は無職やフリーランスというより、事業家や投資家としてすでにポジションが確立している方が多いです。
中には片手間で運営できる法人を所有し、資産管理や副業的な事業を行っている“超富裕層も珍しくありません。

そのため、自らを「FIREしました」と名乗ることはありません。
SNS上でもFIRE界隈ではなくビジネス・投資、または旅行など同じ趣味の界隈にいると考えられます。

資産公開してもデメリットしかない

Fat FIRE民にとって、資産をSNS上で公開する事はメリットより遥かにデメリットが多いです。
そもそもFIRE界隈で発信をしていないため、「FIRE達成者として資産を見せる必要性」がないのです。

一般的にFIRE層が資産を公開する理由は、SNS上での共感やエンゲージメントを得るためです。
「〇〇万円でFIREしました」「月〇万円で生活しています」といった投稿は注目を集めやすく、フォロワーやいいねが増えるきっかけになります。

しかし、Fat FIRE層にとっては、そういったSNS上の反応は特に必要ありません。
むしろ現在のSNS環境では、資産額が大きければ大きいほど「妬み」「詮索」「詐欺的なDM」「炎上リスク」などのネガティブな要素がついて回ります。

特に今の時代は犯罪が増えているため、防犯・プライバシー・家族の安全といった面でもリスクは回避しなければなりません。

そのため、Fat FIRE民にとって資産公開は「得がないうえにリスクだけが大きい行為」であり、避けるのが自然な選択となっています。


おわりに

本当はFIRE後のライフスタイルをより豊かに発信できるのは、Fat FIRE層なのかもしれません。

住環境、健康、食事、娯楽、旅行、学習、日々の時間の使い方など、FIRE後の質の高い生活を体現しているのは、むしろ彼らだと考えています。

だからこそ、この層からも発信するインフルエンサーが現れてくれれば、FIREという概念の広がりや深みも増すと思っています。

SNSでは見栄えの良い「超高級料理」や「贅沢な海外旅行」といった投稿も多く見かけますが、そうした発信だけでは、参考にならないし、どこか物足りなさを感じることがあります。

FIRE後の生活にも使える金額の差はあっても、確かにそういった贅沢な一面はあると思います。
ただ、それはあくまで生活のごく一部であり、本質は日常の満足度を高める暮らしにあると私は思っています。

とはいえ、資産規模が大きいがゆえに背負うリスクも大きく、FIRE民として名乗らないという選択が自然なのかもしれません。

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