これからFIREを目指す方へ

経済的自立(FI)について

これからFIREを目指す方へ

FIREムーブメントが注目を集め始めてから、約5年が経過したでしょうか。特に2021年のピーク時には、多くのメディアでFIREが取り上げられ、大きな話題となりました。

しかし、FIREは一時的な流行に終わることなく、今では一つのライフスタイルとして定着しつつあります。「決められたレールの上を歩くだけではない人生」が受け入れられ始めたのは、日本人の価値観や人生観が多様化している証拠かもしれません。

本記事は、これからFIREを目指したいと考える20~40代の方に向けて執筆しています。
具体的には、以下の内容に焦点を当てます。

・経済的自立を達成するための再現性の高い方法
・「もっと効率的にできた」と私自身が感じた工夫やポイント

「楽して儲ける」といったような魔法のノウハウは提供できませんが、FIREを目指すうえで重要な方向性や具体的な積み上げ方について、実体験をもとにお伝えしていきます。


私のFIREについての考え方

この記事を読む方で「FIREってそもそも何ですか?」と思う人はほとんどいないと思うので簡単に説明しますが、「経済的自立をして早期リタイアする」事を指します。

早期リタイアといっても仕事を持っているFIRE民は多いので、自分の保有スキル(人的資本)や資産(金融資本)を使ってフルタイム労働をしなくても生活ができる状態だと考えてください。

基本的にFIREは「働く事が前提」であるか、ないかで分かれます。

働く事が前提である場合は、事業所得か労働所得のどちらか必須となります。
働く事が前提ではない場合は、働かない(稼がない)という選択肢が選べます。

どのようなライフスタイルを望むか、また充分な資本を積み上げることが出来るかなど人それぞれゴールが違ってくるのがFIREの特徴です。

FIRE後の人生はオーダーメイドと同じでそれぞれ違ってきます。

私が考えているFIRE定義とは

私が考えているFIREの定義は以下の通りです。

・基礎生活費を資産収入で補うことが出来る(FI)
・フルタイム労働から解放されている(RE)
 

基礎生活費は自分で衣食住から光熱費等、生きるために支払う金額を全て補える金額を指します。
この基礎生活費の計算がいい加減だったり、親などに依存することが前提だとFIRE後の生活はいずれ破綻する可能性が高いです。

RE(早期リタイア)に関しては生産活動を一切しない人は珍しいと思うのでリタイアしたから一切働かないという概念ではありません。

労働時間に関する主導権を自分が持っているかどうかが重要だと思います。
FIRE後の労働時間はフルタイム労働の半分以下というのがしっくり来ています。
労働時間がフルタイム労働よりの人はFIRE民ではなく、会社員・自営業者・事業主という分類の方が正しいと思います。

あくまで私が考えている定義なので、人によっては考え方が異なる部分もあると思います。
こういうのも何ですが、FIREの定義通りすればあなたにとって素晴らしいライフスタイルになるというわけではありません。

ただ目安として考えると良い塩梅だと思うので、とりあえず初期時の叩き台としておいて自分が目指すライフスタイルに必要な人的資本や金融資本を目指してください。


フルFIREは安心感はあるけど無駄が多い

FIREというと資産収入だけで自由な暮らしが出来るという事をイメージする人は多いと思います。

働かなくても良い選択肢があり、節約を強いられる生活でもない・・・
そういうライフスタイルはフルFIREと言われています。

良くある定義だとファットFIREとリーンFIREに分類されていますが、どちらも極端なイメージがあるので超富裕層ではないけど平均的な会社員と同程度以上の消費(年400万円以上)ができるという意味合いで私はフルFIREという言葉を使っています。

そんなフルFIREですが、確かに自分自身が稼がなくても普通の暮らしが出来るという点が大きな魅力であり、安心感もありますが、無駄が多いなと感じています。

理由としては3つあります。
①達成するのに時間が掛かるため、若さを失ってしまう事
②結局、仕事という便利なツールが欲しくなる事
③築いた資産は使いきれず、多くは「死に金」になる事



総合的に見ると人的資本と金融資本の両輪を育ててサイドFIREやセミリタイア(バリスタFIRE)のいずれかを目指してなるべく若さを残しつつ、フルタイム労働から解放された方が満足度が高い人生を歩めると考えています。

ただハーフタイム労働が前提のリタイアは絶対に嫌だという人はフルFIRE、もしくはリーンFIREを目指して資産形成するしかありません。


幸福を求めるのに最大の武器となる人的資本

フルFIREした私がフルFIREを目指す人にネガティブな情報を伝えているように感じるかもしれませんが、労働から解放されるだけでは幸福度は上がりにくいです。

人の幸福の基盤は「経済基盤(お金)」と「健康」だと思いますが、それに安全や平和、人生の自由度、生き甲斐(社会的評価が得られる活動など)、社会的資本(人間関係)の充実、楽しみや自己肯定感が持てる趣味や活動などが加わって幸福度が決まってきます。

それらを獲得するために良い武器になるのは人的資本です。

生産的な活動として仕事を持っている方が欲しいものが複合的に手にしやすいという事です。

人的資本が大きいと生産活動で得られるモノが大きくなるし、どうせ仕事するなら稼げた方が遣り甲斐も出てくるため、資産形成しながら人的資本をどのようにして拡大していくか意識して行動するとリタイア後に豊かな暮らしを手にしやすくなると私は考えています。

無職に完全に適合した人以外は何かしら生産活動をしたくなるので資産形成中に準備した方が良いです。

どんなFIREをしても最終目的地は「フルFIREできる資産を持ちながら、自由を制限されない程度に仕事する」が多いと思うので、ハーフタイム労働しながらゆっくり資産形成すればよいと考えています。

フルFIREしてからスモールビジネスを確立するのも悪い選択肢ではないと思いますが、「フルタイム労働に人生の時間使いすぎたな」と私自身は感じています。


経済的自立を達成するための6ステップ

フルタイム労働から解放されるためには経済的自立を達成する必要があります。

経済的自立していない状態で仕事を辞めたとしても、いずれフルタイム労働するために再就職するか貧困生活するかの選びたくない2択が待っています。

社会に出てから経済的自立を達成するまで時間が非常に掛かるため、計画を立てて長期間継続できるようなライフスタイルとしていかなければなりません。

ゼロから経済的自立まで6ステップでまとめてみました。

経済的自立に必要な目標を立てる

まずは自分自身にとっての経済的自立の条件を設定します。

FIREできる条件は年間生活費によって決まりますのでFIRE後の年間基礎生活費と娯楽費がどれぐらいになるか計算して人的資本と金融資本を設定する必要があります。

とはいってもFIRE計画時の初期設定なんて机上の空論になる事が多いため、とりあえず生活費は月20万円から30万円の間で設定しておいて「種銭」が出来てから年間生活費を計算すればよいと思います。

仮に月20万円の支出が出来るFIREをする場合、目安の資産目標額は3000~6000万円になります。

ミニマムの3000万円だと人的資本である程度稼ぐ事が前提の生活になりますが、セミリタイア(バリスタFIRE)は可能です。
6000万円になるとリーンFIREが可能になるので月20万円の生活なら無理して働く必要はありません。
またその状態で人的資本で稼げば娯楽費の予算が増やすことが出来ます。

最終的に資産いくらでフルタイム労働を辞めるかは、辞めた時に実現するライフスタイル・働き方・自由度を考えてみて、自分が納得できるようであれば決断しても良いと思います。

支出の最適化と稼ぐ手段の選定

資産形成する上で必要となるのは支出の最適化と稼ぐ手段の選定になります。

結局、資産形成は長期間の入金ゲームなので収入を安定的に得られるようにして、支出を減らして入金額を増やしていく必要があります。

支出の最適化に関しては「余計なモノ・サービスを購入しない」「固定費は不幸だと思わないレベルまで可能な限り下げる」というスタンスが基本になります。
具体的にはミニマリストや節約家のブログ・ユーチューブを参考にして無駄な支出を減らしてみてください。

稼ぐ手段の選定ですが、基本的には「給料が良い会社に勤めて安定して稼ぐ」か「スキルを身に付けて個人でも稼げるようにする」のどちらか1つは手にする必要があります。
個人でも稼げる仕事は働き方が選べるため、FIRE後に人的資本で稼ぐための武器になります。

具体的にどうやって稼ぐ手段を選定するのかというと求人情報を参考にしてください。
「この会社の業務に従事すればこれぐらい稼げる」という大雑把な内容の求人から、「1本あたり○○円で30秒尺YouTubeショート動画、素材動画は約1-2分前後、工程はカット・テロップ・BGM挿入をお願いします」と具体的に何をすれば報酬を得られるのか書かれてある求人もあります。

求人情報は今の世の中で稼げるスキルが分かるので、スキルの対価や適性など考慮して選定していく必要があります。

若い人であれば、いろいろ試してみて自分に合った稼ぎ方を選定してください。


投資は資産形成の補助的な役割に留める

再現性が高い方法で経済的自立をしたいのであれば、種銭は仕事をして創ってください。
稼ぎ方は会社員でもフリーランスでも法人事業でも何でも構いません。

投資で稼ごうと思うと投機に走らざるを得ないため、避けた方が良いです。
何故なら投資はプロでも市場平均を超えて稼ぐ事が難しいからです。

投資はインデックス投信に絞って、自分のリソースをなるべく使わず無難なリターンを狙いましょう。

インデックス投信は無難なところでオルカン(全世界株式)かS&P500になりますが、どちらか(もしくは同じぐらいリターンとリスクがある投信)で積立投資を継続してください。

基本的にフルタイム労働をしながら種銭を創る時はフルインベストメントでも良いと思いますが、相性もあると思いますのでご自身でどれぐらい投資に回すかは決めてください。

インデックス投資に必要なのは膨大な投資の知識ではなく、継続力です。
暴落程度で市場から撤退することがないように鉄の意志を持って継続していきましょう。

ちなみに「種銭っていくらぐらいを考えていますか」と聞かれたら、2000万円と答えています。
このお金は仕事して稼いだ元本の金額です。含み益は入れていません。


資産形成において最難関が「1000万円貯める」

FIRE界隈では5000万円、1億円と一般的な人からすればハードルが異常なほど高いラインで語られることが多いと思いますが、1000万円単位で最も構築するのが大変なのが最初の1000万円です。

ここにたどり着く前に資産形成自体を諦めてしまったり、300万円とか500万円のラインで無駄にお金を使うようになってお金が増えなくなったりする人が多いと思います。


経済的自立を目指すなら死に物狂いでこの1000万円のラインを超えてください。


資産が1000万円以上になるとお金の管理が身に付いてくるので資産形成すること自体が少しずつ楽になってきます。
そして少しずつ資産収入も増えてくるので資産増加のスピードも早くなってきます。


種銭が出来た時点でセミリタイアが可能に

1000万円のラインを超え、さらに積立投資を続けて元本で2000万円を超えるようになりました。
そうなると種銭の出来上がりです。

総資産に関しては積立投資をした年数と相場次第になりますので何とも言えませんが、長期投資ならかなりの確率で増えていると思います。

私のイメージだと月10万円を優良な投資信託に積立投資を始めて200ヵ月経ったら、アッパーマス層になっている感じですね。
※あくまで過去のデータに基づいたイメージです。またアッパーマス層の上位か下位かは相場次第です。

種銭が出来た時点でFIRE後の生活のライフスタイルを具体的に検討してみてください。

ここまで来ると人的資本が育っていれば、セミリタイアやサイドFIREが可能になります。

働かない前提のFIREの場合なら種銭が出来た時点で中間地点はすでに超えていると思うのでこのまま資産形成を継続してください。
ここからは1000万円増えるために必要な時間がどんどん短くなっていきます。


FIRE前にバランス型の資産運用に移行しよう

FIRE後のライフスタイルが決まり、必要な人的資本も準備して目標とした資産額の到達も見えてきた。
FIREが可能な状態にそろそろ入りそう・・・

それは資産形成がうまくいった結果なので今のアセットアロケーションを崩したくないかもしれませんが、FIREする前にバランス型の資産運用に移行して暴落が起きても生き残れるようにしていきましょう。

バランス型とは
①株式:債券=50:50
②株式:債券:現金=60:20:20
③株式:現金=70:30
※運用資産が3000万円~1億円程度を想定
上記のようなアセットアロケーションにした場合のリターンをイメージしてください。
好みはあると思いますが、シンプルにしたいなら③、攻守バランスが良いのは②という感じです。

サイドFIREを選んだ人、特に人的資本で稼げる人はバランス型よりリスクを取っても大丈夫だと思いますが、資産収入以外の収入源がないフルFIREやリーンFIREを選んだ人はこれぐらいのリスクで抑えておいた方が暴落時にメンタルが病まないと考えています。

滅多にいないと思いますが会社や事業を売却したり、投資で大成功して超富裕層レベルになった人ならリスクを抑えて債券を軸に運用した方が良いと思います。

相場というのは長期的に見れば右肩上がりになる傾向ですが、その過程は順風満帆ではなく、たびたび乱高下しています。

長期運用していればバランス型にしても下落相場が来れば10~15%ぐらいの総資産が蒸発することはあります。

私は今まで何度も大きな下落を食らっているので慣れているのもありますが、メンタルが正常なのは狼狽売りしなくても生き延びられるようにしているからだと思います。

資産運用は恐怖と欲望に負ければ失敗する可能性が高くなるため、大きな金融ショックが来ても耐えられるようなアセットアロケーション、そしてメンタルを準備してください。


上昇相場が長く続くと人は「もっと儲けたい」と過剰なリスクを取りがちですが、FIRE後に大暴落してから長い停滞期に入り、そのような状況で現金が必要なために大きな含み損を出して売る事だけはリターンを犠牲にしてでも避けなければなりません

これを強く伝えている理由はお金を求める欲求は自分が考えているより強烈と考えてください。
長期投資は欲望と恐怖との戦いなのです。


経済的自立を達成した方へ

経済的自立を達成して、フルタイム労働を卒業できるような状態にしました。

世の中には経済的自立が出来ている状態だけど、フルタイムで働き続けている人は少なくありません。
この章は経済的自立を達成した人向けになります。

FIREすると人生のライフステージが変わるだけでは一時的には解放感に溢れて幸福になれますが、永続的に幸福になるというわけではありません。

FIは誰にでも勧められるがREは違う

FI(経済的自立)とRE(早期リタイア)は完全に切り離して考えた方が良い。
これは良く言われている事で一度は聞いたことがある人が多いと思います。

私自身も経済的自立に関しては誰にでも勧められますが、早期リタイアに関しては勧めていません。

フルタイム労働をしていると自由な生活が至高に感じる人が多いと思いますが、実際にFIRE後の生活をすると合う人合わない人ではっきり分かれてくると思います。

基本的に無職適合者か1人で何でも行動できる人のいずれかではないと自由な暮らしというのは合わないと思うので私は多くの日本人には合わないだろうなと感じています。

人は仕事を持っていた方が幸福になりやすい

仕事で得られるモノの軸となるのはお金(金融資本)だと思いますが、それ以外に人的資本、社会的資本、遣り甲斐、社会的評価・信用なども付随してきます。

様々な働き方はありますが、複合的に資本が手に入るのが仕事というツールだと思うので、人生を豊かにするうえでは非常に便利だと思います。

私は「早く労働から解放されたい」と思い続けた人間で、はっきり言って労働が嫌いな方だと思っています。

そんな人間がライスワークをする必要がなくなったことで仕事というツールの便利さを改めて感じる事になりました。


仕事と言ってもいろいろ働き方はあります。

①職場に通って業務に従事する
②リモートワーク可能な業務に従事する
③業務を請け負って案件ごとに対価を受ける
④SNS、ブログ、ユーチューブなど自己完結型の仕事
⑤不動産などに投資して事業収益を目指す

④は収入源と言えるほど稼ぐ事は難しいですが誰でも参加できます。
①から③は人的資本によって仕事が選べます。
⑤は人的資本以外に金融資本や社会的信用も必要な仕事です。

働き方は様々ですが、どうせ仕事にリソースを使うなら稼げた方が得られる資本が大きくなりやすいので人的資本を育てておいた方がFIRE後の生活を豊かにしやすくなります。


どのようなライフスタイルが幸福に感じるか

FIRE後の生活は自分自身が持つ資本(若さ[年齢]、人的資本、金融資本、社会的資本、健康資本、行動力など)によって決まっていきます。

FIREすると間違いなくライフステージが変わるため、今まで得ていた収入源や社会的資本など失う事が多いと思いますが、自由に動ける時間が増えるため、行動することによって新たに増やすことも可能になります。

経済的自立を達成して多少メンタル的には余裕がある状態だと思うので、どのようなライフスタイルが幸福になるか、そのために必要な資本はどれぐらいかは再度検証してみてください。


おわりに

自分が望むライフスタイルによって向いているFIREのスタイルがあり、必要な人的資本と金融資本が決まります。


FIRE後にモデルチェンジすることは可能だと思いますが、時間は掛かります。
サイドFIRE→フルFIRE:金融資本を積み上げるために時間が掛かる
フルFIRE→サイドFIRE:人的資本や事業を構築するために時間が掛かる


上記のように時間を掛ければモデルチェンジ出来る可能性がある事もあれば、リーンFIREからセミリタイアにモデルチェンジする時など年齢や保有している人的資本次第でモデルチェンジが実現困難と言わざるを得ないほど難しくなる事もあります。

なので自分が目指すライフスタイルに応じて資産形成しながら人的資本をどう育てるべきか真剣に考えて構築していきましょう。

この記事はどのような性別・年齢・保有資本の人が読んでいるか分かりませんが、7500文字を超える記事をすべて読むぐらいだからFIREに関して相当な熱意や真剣さがあると感じています。

そのような人ならFIREするために必要な知識は自分で勉強して吸収することが出来ると考えています。



最後に

経済的自立の道は長く険しい道だと思いますが、あなたにとって良いライフスタイルが構築できる事を願っています。

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