一般的な人でも目指せるようになった自由な生き方
欧米を中心にFIREという生き方にムーブメントになっていて、日本でも多くのFIRE関連の書籍が出版されています。
FIREとは「Financial Independence, Retire Early」の頭文字を略したもので「経済的自立して早期退職」を意味します。
FIREと今までの早期リタイアの違いは、FIREというのは技術や投資環境の進化により一般的な人でも目指せる生き方になった事です。
昔からある早期リタイアというものは「金持ち父さん貧乏父さん」の金持ち父さんのような生き方であり、ビジネスオーナーかよほど高収入のエリートでなければ出来ない生き方でした。
20世紀の時代は定年まで働き続けるのは当たり前であり、経済力に応じた金銭的な贅沢を楽しむ。
それが経済成長期に働いていた時代の人たちの考え方ですが、若い世代は違います。
今の時代は安価で良質なモノやサービスが手に入るため、若い世代ほど金銭的な贅沢に大きな価値を見出すことがなくなり、生活をシンプルにする事によって生活に多くのお金を使う必要がなくなりました。
そして誰でも世界中の株、債権、不動産、コモディティなどに投資が出来るようになったため、資産形成がしやすい環境も整いました。
FIREはもう金持ち父さんのような人たちだけの特別な生き方ではなくなったと考えています。
FIREを目指す理由は健康状態が悪くなる老人になるまでフルタイムで働きたくないというのが最も大きな理由だと考えています。
日本社会は会社が生活に占める割合が大きすぎるのです。
3週間程度の休暇も取れないし、労働時間も無駄に長い。
未だに長時間労働が高評価だと認識している経営者や幹部社員も多い。
定時に帰れる会社員は少なく、残業するのが当たり前のような流れになっていないでしょうか。
日本でのFIREは会社員(公務員)を辞めても生きていけるようにする
という意味合いが強いのだと思っています。
FIREの基本的な考え方は、資産所得>生活費 が成り立つことです。
FIREは主に5種類のパターンがあります
日本国内において標準的な生活費>資産所得が成り立つからリタイアできるFIREと、その派生にあたる4種類のライフスタイルがあります。
- (フル)FIRE [経済的自立を確立した早期リタイア]
- Fat FIRE [お金持ちによる早期リタイア]
- Lean FIRE[必要な資産をミニマムにした早期リタイア]
- Side FIRE[事業(労働)所得と資産所得の2本柱によるセミリタイア]
- Coast FIRE[収支均衡型のセミリタイア]
自分が目指す理想のライフスタイルがどのFIREが良いか検討する必要があります。
(フル)FIRE
FIREするためにはいくらお金が必要か?
FIREに興味があるなら必ず考えるテーマの1つだと思います。
一般的な定義としては年間支出の25倍の純資産を保有(4%ルール)すればFIREとなります。
4%ルールという考え方は純資産の4%程度の支出しても保有している資産所得で賄えるという考え方です。
元々はFIREというのは4%ルールに基づいて条件をクリアした状態を指していましたが、今ではこの本来の定義に合わなくてもFIREと主張する人が多いため、区別するために資産収入だけで生活できる人をフルFIREと呼ぶ人も多いです。
FIREには1億円必要だと主張する人は年間支出が400万円と一般的な人の支出に近い生活費で考えているからだと思います。
いくらお金が必要かというのはその人のライフスタイルによって異なります。
ローンなしの自宅に住んでいる独身と子持ちで賃貸マンションに住んでいる既婚者では人生において必要なお金が異なるからです。
グローバル社会による経済成長期はもう終焉を迎えたので、基本的に4%ルールで運用すると資産が徐々に減ることを前提にしていると認識したほうが良いと考えています。
資産を維持するという方針であれば3%ルールで運用したほうが無難です。
FIREの定義で分かりやすいのは働かなくても生活できるかどうかという点です。
資産保有額の多寡ではなく、自分は完全リタイアするという選択肢を持っているかどうかがFIRE達成の判断基準だと考えています。
ただFIREにも多様な生き方があるため、単純に4%ルールを当てはめる理由もありません。
「早期リタイアしたらお金を気にせず好きな事がしたい」
「月10万円で生活できるから資産3000万円もあれば充分」
「個人事業で稼げるからFIREの半分の資産所得があればいける」
「期間工で半年間働けば収支均衡できるので資産は1500万円で大丈夫」
FIRE後のライフスタイルは人それぞれなので派生として
Fat FIRE、Lean FIRE、SideFIRE、Coast FIREがあります。
Fat FIRE
Richではなく、Fatと呼ぶのが人生において必要以上にお金を持っても無駄なだけという強い信念を感じますが、このFat FIREはリタイア後も豊かに暮らし続けるスタイルです。
働かずに金銭面で豊かに暮らせるという前提なのでそれだけの資産が必要となります。
具体的にいくらでFat FIREと呼べるのかは人それぞれの基準が違いますが
住居費を除いて月100万円支出できれば、一般的な贅沢な暮らしが出来ると思います。
それを基準にすると最低水準で3億円+ローンなしの住宅となりますが、金持ちのFIREなので日本では金融資産5億円以上保有する超富裕層の仲間入りしてFat FIREと言えるのではないでしょうか。
Fat FIREする人はビジネスオーナーである場合が多く、金融資産だけではなく不動産投資をしたり、資産管理会社を所有していると考えられます。
若年層のFat FIREだと事業売却して超富裕層になったケースも多いと思われます。
人生の選択肢が最も多いFIREスタイルですが、事業か投資で成功しない限りは不可能だといえます。
Lean FIRE
倹約することにより年間支出を下げてFIREに必要な資産を下げる。
現実に存在するセミリタイア界隈には多いライフスタイルです。
ミニマリストが資産形成してFIREする場合はLean FIREとなります。
月10〜15万円ぐらいで生活が出来る倹約力が必要となります。
月10万円なら3000万円、月15万円なら4500万円でLean FIRE達成ですが現実的にはLean FIREでも5000~6000万円ぐらいは欲しいところです。
生活にお金が大して必要ではない人にとって合うFIREスタイルです。
Side FIRE
米国ではBarista FIREの方が有名かもしれませんが、日本では皆保険制度があるため、健康保険に加入するためにバイトやパートをする必要はありません。
日本ではバイトしているセミリタイアブロガーで自分をBarista FIREと表現しているブロガーはほとんどいないと思われるので当サイトでは生活費を稼ぐために事業所得メインが稼ぐFIREをSide FIREと呼ぶことにします。
バイトや短期派遣メインならセミリタイアと言った方が日本では理解されやすいと思います。
Side FIREというスタイルは事業(または労働)所得+資産所得で年間支出を設計します。
割合は50:50がベースとなっていますが、人的資本を使った事業所得や労働所得で稼がなければならない金額が高いと想定よりも資産取り崩しが早まる可能性を高めるので注意が必要です。
事業(労働)所得と資産所得で10万円ずつという配分なら
月20万円の支出でも3000万円の資産で成り立つことが出来ます。
ゆるいSide FIRE生活したいなら月15万円の支出で3000万円の資産があれば
毎月5万円仕事で稼げば良いという楽な設計に変わります。
FIREしたら完全リタイアでずっとお金を稼がないという事はまずありませんし、どこかの会社で働かなくても個人で稼げる手段はあります。
Side FIREは自分に合った適度な労働で社会との繋がりが出来るため、仕事と余暇のライフバランスが良く、生活費を金融資本だけに頼らないため一般的なFIREほど資産を必要としない。
私は多くの人が目指せるFIREスタイルだと考えています。
Coast FIRE
日本ではFIRE、またはSide FIRE(サイドFIRE)を名乗る人がほとんどでCoast FIREと名乗るブロガーはあまり見かけません。
ただ明らかにCoast FIREだなというブロガーは存在します。
Side FIREとCoast FIREはセミリタイアという広義にまとまりますが、FIREの分類では収支設計が異なるので同じではありません。
ゆるく働いて労働所得は生活費に充てて、リタイア後の必要な資金は資産運用して複利で増やしていくというスタイルです。
Coast FIREは日本語でいうと収支均衡型のセミリタイアです。
人的資本で生活費を稼ぎ、金融資本でリタイア後の資金は増やしていきます。
一見それでFIREと言えるの?と考える社会人は少なくないと思います。
普通の社会人では考えられないかもしれませんが、現役時代に給料もらっている時は貯蓄率が50%を超えるFIRE民は多いです。
そのFIRE民は同じ待遇で半年間働ければ、1年分の生活費を稼げるので半年は自由に過ごせます。
倹約家で短期派遣(バイト)やフリーランスとして生計が立てられる人には合っているスタイルです。
このスタイルのメリットはFIRE時に多くの資産を必要としません。
FIREの共通点
ライフスタイルや必要な資産額は異なりますが、どのFIREも金融資本や人的資本を使って経済的自立を果たすというのが共通点だと思います。
仕事に縛られず世界中を旅することが人生の目標の人もいれば、小説家として活動するための時間をつくるためにFIREする人もいれば、仕事は午前中だけにして残りは趣味や家族とのコミュニケーションに使いたいという人もいます。
自分の進みたい道を叶えられるFIREを目指すことが大切だと思います。